糖尿病について

糖尿病は高血糖状態が慢性的に続くことで自覚症状がないまま血管障害などの合併症が進行し、『のどが渇く、頻尿、疲れやすい、痩せてきた』などの症状が出た時にはすでにかなり進行しているという、非常にこわい病気です。

健診で糖尿病予備軍と指摘をうけた方にも、合併症の血管障害がはじまっているともいわれ、早期の診断と治療がとても大切になってきます。

近年、糖尿病の治療に関しても新薬が次々と発売され、膵臓をできるだけ保護する方向にいくなど、大きく変わっています。

生活習慣病高血圧

糖尿病治療に関しては、食事、運動療法をはじめとして、内服薬、そしてインスリンなどの注射薬があります。様々な組み合わせがありますが、患者様それぞれの病状や生活に合わせた治療を選択していきます。

食事や運動、内服薬やインスリンの選択・調整に関して、入院管理での経験談を交えてお話しします。

検査で重症の糖尿病とわかった場合には、通常は入院してインスリン注射を用いた強化インスリン療法という治療を行います。このような患者さんは高血糖状態が長く続いているため、インスリンを出す膵臓のほうもかなり疲れてきていて、体の中に悪循環が生じ、なかなか血糖が下がりにくくなっています。疲れた膵臓を休ませ、この悪循環を断ち切るため、1日4回ほどのインスリンを注射し体の外から補充してあげます。

興味深いことにこの強化インスリン療法を行っていると、ある時を境に症状が消失したり、血糖の値が良くなってきたりと、今までかかっていた霧のようなものが一気に晴れたようになることがあります。この状態になることを『糖毒性の解除』と言ったりしますが、治療面ではこのあたりをさかいにインスリン注射の量を減らしていくと同時に、退院を考えてライフスタイル(生活習慣)に合わせた内服薬をはじめたり、調整したりしていきます。

つまり、高血糖状態、糖毒性という悪循環の霧が晴れた状態で初めて、必要な治療が見えてくるといったイメージです。場合によっては、そのままインスリン治療をやめられるケースもあります。内服薬の調整は入院管理のなかで行いますので、その薬の効き方、副作用など毎日細かに観察できるため、内服薬の効果をある程度イメージできるようになります。また入院では糖尿病教育や食事・運動療法などいろいろなことを行います。

糖尿病患者さんの管理に関してはこの入院管理が基礎となっているところも多く、普段の外来診療にも役立てさせて頂いております。

糖尿病インシュリン注射

当院では、ある程度進行していて入院が必要といわれたが、仕事が休めないなどの事情があって入院できないという方にも、入院と同じような方法で(低血糖など起こさないよう安全に行うため少し時間がかかりますが)外来でのインスリン導入など安全な範囲で通院治療を行っています。※インスリンを使用する場合は、高血糖状態の悪循環を解除するための一時的な手段ですので、悪循環が解除されれば、やめて内服に切り替える方向に考えます。インスリンはやめることも可能ですし、ずっと続けなければならないというわけでもありません。


 血糖値は血圧のように気軽に自宅では測れず、なかなか実感もわきません。このため、『数値もわからないし症状もないのになぜ薬を飲まなければならないのか』と困惑されることも多いかと思います。

繰り返しになりますが、糖尿病はある程度進行するまで症状が出ることはなく、知らないうちに様々な合併症も進行し、気づいたら引き返せなくなっていることが多いとても怖い病気です。

症状もなく経済的負担も生じてくることからも、治療を継続していくのは簡単なことではありませんが、後から取り返しのつかないことにならないよう、出来るだけ無理なく、ご要望に沿った治療を一緒に考えご提供できるよう努めていきたいと思います。

さらに、大まかでもいいので糖尿病に関しての知識や理解があれば、治療の目標も見え、やる気や積極性も生まれてきますし、良いことがたくさんあります。そこに少しでもお役に立てればと思っています。

健診で血糖値が高かった方や予備軍と指摘された方、下記の症状があり糖尿病がご心配の方

●のどが渇いて、頻尿がある ●疲れやすい ●痩せてきた●身近な血縁者に糖尿病があり心配

また、治療に関するご相談のみでもお待ちしてますので、どうぞお気軽にいらしてください。

当院では患者様の生活習慣に沿って、まず、しっかりとすい臓を休ませてその回復の可能性を十分に引き出してあげること治療の出発点としています。

重症の患者さんで治療開始時にやむを得ずインスリンを使用する場合は、それが最善の方法である場合に限り使用し、原則、時的な使用で済ませられるようにしています。

※インスリン導入については、重症で入院加療を勧めるも、家庭や仕事の事情で入院できなかった患者様に十分な説明のうえ行っています。インスリン導入中も受診の頻度は2~6週に1回に留めるようにしています。

あるところまでの改善は見られるものの今一つ伸びが良くないといった場合には、『高度の肥満で減量が難しい』、『仕事や付き合いで生活習慣の改善が難しい』、『お酒を減らせない』、そして『長年の糖尿病歴ですい臓の機能回復に限界がある』などの理由が潜んでいます。このような場合どんなに頑張っても限界があるところもありますが、合併症が進まない(ヘモクロビンA1cが7%を下回る)範囲で治療を続けられることを目標に、患者様に合った無理のない治療ができるよう努めています。

このほかにも、多彩な糖尿病治療薬の中から、患者様に合ったお薬の組み合わせを探し、経済的負担も最小限に抑えてあげられるよう考えて診療にあたっています。また、必要な場合には当院の管理栄養士さんのお話で糖尿病という病気の知識をさらに深めて頂き、生活習慣の改善にお役立ていただいています。


高血圧について

 お家の血圧計で135/85mmHgを超えるようなら高血圧の疑いがあります


高血圧は脳卒中、心筋梗塞や心不全などの心臓病、腎臓病などの原因疾患で120/80 mmHgを超えて血圧が高くなるほど脳卒中や心臓病、慢性腎臓病などの罹患リスク、死亡リスクが高くな

ります。国内で高血圧の方は約4300万人と推定されていますが、そのうち3100万人が管理不良と言われており、早期診断と適切な治療が重要です。

なぜなら、これまでの研究で収縮期血圧10mmHgの低下により脳卒中や心筋梗塞の発症が20-30%減少し、死亡率も10-15%減少することが明らかにされているからです。


当院では降圧剤を用いた薬物治療だけでなく、管理栄養士による減塩を中心とした食事療法も行っております。また、原発性アルドステロン症など二次性高血圧が疑われる場合、適切な診断

と治療が受けられるよう専門病院への紹介も行っています。

脂質異常症について

脂質異常症は高LDLコレステロール血症(悪玉)、高トリグリセライド血症(中性脂肪)、低HDLコレステロール血症(善玉)のことを指します。これらの脂質異常症を放置すると心筋梗塞や

脳梗塞、閉塞性動脈硬化症などの動脈硬化性疾患に罹患するリスクが高くなります。動脈硬化性疾患は加齢、性別、家族歴、糖尿病、高血圧、喫煙、脂質異常症が原因となりますが、脂質異常

症はこの中でも重要なリスク因子であることが様々な研究で示されています。

脂質異常症を早期に診断し治療を開始することで心筋梗塞や脳梗塞を予防し、また、動脈硬化の改善も期待できます。


当院では健診などで再検査が必要とされた場合、コレステロール値の再検査だけではなく、現時点での動脈硬化の程度を評価するため頸動脈エコーによるプラークの有無のチェックや血圧脈波

装置による血管の硬さ、血管の詰まり、血管年齢が測定できます(CAVI:心臓足首血管指数、ABI:足関節上腕血圧比)。

薬物療法の開始にあたっては、患者様ごとに動脈硬化性疾患の罹患リスクが異なるため、高リスクの方については積極的な治療を行い、低リスクの方には必要のない治療を行わないようコレ

ステロール値の正常化を目標とするのではなく、リスクに応じた脂質管理目標値を設定し治療を行います。

睡眠時無呼吸症候群(SAS)について

睡眠時無呼吸症候群(以下SAS)は睡眠中の1時間に5回以上の無呼吸あるいは低呼吸があり、昼間眠気や倦怠感などの自覚症状を伴う病態のことです。

SASは心筋梗塞や脳梗塞・脳出血を合併する頻度が高く、高血圧や糖尿病、メタボリックシンドロームなど生活習慣病の発症リスクになります。また、SASの患者さんは自動車事故を健常者の数倍は起こしやすく、患者個人の身体的、経済的な損失だけでなく社会的な損害も問題となります。

以下のチェックリストに2項目以上当てはまる場合はSASの可能性がありますのでお気軽にご相談下さい。

□「ほとんど毎晩いびきをかく」と言われる。  

□「睡眠中に呼吸がとまる」と言われる。  

□しばしば、首を絞められたような窒息感で目覚める。

□朝、目を覚ました時にスッキリしない。  

□日中に眠気強く、起きているのがつらいことが多い。  

□居眠り運転で事故を起こしたことがある。

□夜中に2回以上目が覚める。  □寝汗をかくことが多い。  

□寝相が悪い。  □肥満である。  

□体がだるい。  □血圧が高い。


当院では、SASが疑われる場合、自宅でできる簡易検査器によるスクリーニング検査を行います。

その結果、さらに精密検査が必要となった場合、ポリソムノグラフィー(PSG)という確定診断のための検査を行います。

これまで、入院が必要でしたが、現在は自宅で検査を受けることが可能になりました

「なかなか検査予約がとれない」、「忙しく入院できない」などお困りの場合、お気軽にご相談下さい。

【休診日】土曜日・祝日・水曜日午後・日曜日午後

※日曜日は午後2時まで診療。                    ※混雑状況により、診療時間内でも受付を終了する場合があります。             当院は発熱等の症状がある方の診療を行い、必要な検査を行う「診療・検査医療機関」として宮城県から指定を受けております。       ※当院は医療情報・システム基盤整備体制充実加算の算定医療機関です。  


医院名
いずみ野村ファミリークリニック
院長
櫻井 直(サクライ タダシ)
住所
〒981-3124
宮城県仙台市泉区野村字桂島東1-5
診療科目
胃腸内科外科
・内科・
内視鏡内科糖尿病内科小児科(3歳~)
各種検診人間ドック
(日曜診療)
電話番号
022-342-1537